研究テーマ

本研究室で行っている研究活動について概要を紹介します。

 精神保健面で支援や配慮が必要な方が暮らしやすい地域社会に関する研究を行っています。具体的には、ひきこもりや不登校の状態にある方々やその家族、精神障がいを持ちながら地域で暮らす方々をおもな対象と考えて、家族会の形成や発展、相談支援や訪問看護などによる回復過程を研究しています。

研 究 例

・(山形県との共同研究)地域包括ケアシステムに資する地域アセスメント(令和3年度)

・(厚生労働社会福祉推進事業)行政と連携したひきこもりの地域家族会の活動に関する調査研究事業(令和2年度)

社会貢献例

・相談支援専門員の養成課程における研修での貢献(岩手県、山形県)

・ひきこもりサポーター研修、ひきこもり支援者研修での貢献(山形県)

・精神科訪問看護算定要件研修での貢献(埼玉県など)

 職場や職務に関する精神的充実に関する概念のひとつにワークエンゲイジメントがあり、職場や職務を成果の発揮の場とだけ捉えずに心理的安全性の観点で捉える点に特徴があります。ワークエンゲイジメントが高いことは就業継続意向などに影響することがわかっていますが、労働環境の影響はさほど明確になっていません。そこで本研究室では、はたらく人のワークエンゲイジメントの向上に寄与する要因を探るとともに、休職者の再休職予防に資する早期徴候の確立を目指しています。また、社会貢献として公務従事者や看護職者などへのメンタルヘルス研修に従事しています。

研 究 例

・(科学研究費補助金)看護師のワークエンゲイジメントの向上と休職者の復職定着を予測する因子(継続中)

・(科学研究費補助金)看護職者のワークエンゲイジメントに関係する職場の環境要因に関する研究(継続中) 

・(科研分担研究)看護師のメンタルヘルスケアのためのWRAP有用性の検証(継続中) 

社会貢献例

・看護協会などを通じた看護師向けメンタルヘルス研修(主に東北地方)

・各種事業体などにおけるメンタルヘルス研修(主に山形県内の事業体)

 精神看護の基盤概念は20世紀中盤以降に多くの看護理論家によって言及されてきましたが、近現代の社会と価値観の変容に合わせた概念が必要です。協働学習、パートナーシップ形成、権利擁護などの側面を前面におく必要があると考えられ、概念研究や実践例の変化などをもとに基盤概念とその具体化を行うことが求められると考えています。研究室代表者の安保寛明はコンコーダンス(調和)モデルの日本への紹介をおこなっており、同時期に日本に広まったリカバリー、ストレングスなどの各種概念との関連や適用範囲を研究しています。

研 究 例

・(科研分担研究)地域における精神障害者家族に対するリフレクティングを用いた実践的介入モデルの開発(継続中)

・(科研分担研究)精神科看護師の病棟から地域(精神科訪問看護)への移行のプロセスに関する研究(継続中)

・(科学研究費補助金)精神科入院患者の地域移行を促進する病棟地域連動型リカバリー支援ツールの開発(-2019)

社会貢献例

・専門誌等への寄稿(精神科看護、こころの元気+(プラス)、月刊みんなねっと)

・各種団体の依頼による研修の受託

 本邦では2010年から2019年までは自殺者数は減少傾向にありましたが、新型コロナウイルスの流行と警戒に伴う社会情勢の変化などの影響か、2020年度に増加傾向に転じました。自殺予防に効果的な方法にゲートキーパーの養成と援助希求行動の促進があり、効果的な方略を探求しています。この分野は本研究室としては端緒についたところであり、特に研究パートナーを探索しています。

社会貢献例

・各種団体に対するゲートキーパー研修の受託

・学校などにおけるSOSの出し方講座による援助希求行動の促進